隣の席の孤独な美男子、中学生だった私の初恋の思い出
私の筆箱を使う彼
中学2年になりたての頃、私はまだまだ子供で、1年のときから何も変わっていなかった。
後に彼氏となるオサム君と出会い、少しだけ成長できた思い出を、ここに留めておきたいと思う。
当時私はいわゆるガリ勉で、勉強さえすれば賢くなれると信じて疑わない、教師にとっては都合の良い生徒だった。
学年でも上位に名を連ね、それなりに自信も持っていた。
成績と地頭の良さは違うなんて、当時周りは誰も教えてくれない。
クラスでも何名か、進学校を狙うような連中だけでグループを作り、話題はテストの結果や塾のコース選択など、互いを探るような内容がほとんど。
楽しい訳でもないが、一人でいる勇気もなく、無理しながらでも話を合わせるようにしていた。
オサム君はそんな仲間に加わることはなく、休み時間も一人自習をしていることが多かった。
情報通の生徒によると、学年ではそれほど上位に入っていないが、地元で最難関の男子校を狙っているのだという。
前髪の先だけを少しブリーチしていて、勉強だけではなく自分の個性を主張しているところが、私の目には斬新に映った。
席が隣なので、キラキラした髪が視界に入ることもある。
透き通る肌と相まって、男性なのに美しいと感じさせるものだった。
ある時、校則違反の抜き打ち検査があり、オサム君の前髪は断髪するよう命じられてしまった。
机の上で、器用にブリーチのところだけカットしている。
オサム君は笑いながら、おかしくないかと私に尋ね、私も笑いながら、大丈夫と答えた。
実際、黒髪だけでも美しさに変わりはなかったのだ。
私の筆箱にはいつも、赤ペンが2本入れてあった。
1本はオサム君が使うからだ。
どういう経緯だったのかは覚えていない。
私が使い終わるまで待っているので、根負けして2本入れるようにしたのだ。
始めは赤ペン、次に定規、鉛筆も。
代わりに鉛筆削りは自分の物を使ってくれと言い、私の鉛筆をくるくると削り、きれいに先を整えて返してくれた。
理由はわからないけど、この不思議な関係が楽しくて、私はされるがまま受け入れていた。
少なくとも、信頼できる奴だと認められたようで嬉しかった。
席替えがあり、通路を挟んだ斜め横の席になっても尚、私の筆箱に腕を伸ばしてきた。
そうなると、
「隣の人」
だからではないということになる。
それがクラスの上級階層の女子にとっては勘に触ったらしい。
地味で男子にもてないタイプの私が、オサム君のような美男子と親しくしていることは面白くなかったのだろう。
突然それまでの仲間から相手にされなくなり、休み時間は一人きりになった。
元より一人のオサム君は、そんな私の状況にはお構いなく、同じように接してくれた。
文房具を使うだけではなく、時には勉強のことも聞いてくるようになった。
週に一度、放課後の図書室、一番奥の席でようやく二人きりになれる。
オサム君と好き同士になれたらいいのに。
女子なら当然の思いが、私にも芽生えた。
はじめてのお付き合い
夏休みは会うこともなかったのだが、始業式の帰り道、クラスメイトには見つからないよう、遠回りをして一緒に帰った。
告白などなかったが、静かに、私のことを彼女だと言ってくれた。
オサム君はいつも、唐突だ。
夏休み中に会えないことが寂しかったと言われ、堪らなく胸が締め付けられた。
でも私は、内心焦ってしまった。
彼氏なんて初めてだし、中学生のお付き合いって何をするのかわからない。
毎日一緒に下校したり、放課後は公園に行ったり、休日にはやっぱり、手をつないで映画を見に行ったりするのだろうか。
あれこれ想像してみたが、現実は思っていたのと少し違った。
オサム君は自分の教科書を差し出し、交換しようと言ってきた。
意味が分からず受け取り、帰宅後に小さな折り目のところをめくってみる。
ページの端に、小さな漫画や先生の悪口、そして、私の似顔絵が描かれているのを見つけた。
面影はあるが実物より可愛く描かれてあり、そんな気遣いをさせたことに申し訳なく思った。
反対のページの端に、私も彼へのメッセージを書き込み、同じように小さな折り目を付けた。
裏を返すと、彼の氏名が書かれてある。
少し角張った文字を指でなぞり、幸せに浸った。
早めに登校し、誰にも見つからないよう、教科書を交換し合う日々が続いた。
もうすぐ雪が降るような季節、電車で海岸沿いの街まで出掛けたことがある。
ドキドキしながら切符を買い、誰もいない浜辺で遠くの波に向かって叫び、制服に捕らわれない自由を楽しんだ。
河口を見つけ、河川と海が混じり合うところを飽きずにいつまでも眺めていた。
クラスの誰も、オサム君が私の彼氏だなんて思いもよらないだろう。
相変わらず休み時間は一人だったが、寂しいとは思わなくなった。
淡々と授業をやり過ごし、オサム君と交換日記を続け、成績を維持することも忘れなかった。
中3になると、進路を決める時期が訪れる。
オサム君は私立で最難関のL校を受験するため、公立校は一つランクを下げる必要があった。
私は逆に県立が第一志望なので、ランクを下げるわけにはいかない。
一緒の高校を目指すことはできないとわかった。
正直なところ、オサム君も同じ高校を目指してくれたらいい、L校なんて諦めてくれたらいいのに、と願わずにはいられなかった。
私は一介の中学生で、子供で、彼氏の人生までは考えられない。
当然だが、彼はL校を諦めることはなかった。
彼はクラスの誰よりも大人だった。
集団に依存することもなく、自分の事に集中し、私への態度もぶれることはなかった。
その彼が自分の意志を曲げることなどありえないのだ。
志望校は違っていても、一緒に勉強することはできる。
それまでと変わらず週に一回は図書室へ通い、私はオサム君の邪魔をしないよう、気を付けながら過ごすようになった。
旅立ちの春
私は無事、第一志望の県立校に合格することができた。
オサム君は、L校合格の夢は叶わず、公立で二番手の市立高に通うことになった。
挑戦したことに後悔はなかっただろう。
彼はきっと、今度は大学進学を目指すはずだから、そこで希望を叶えればいい。
そうは思っても、何となく気まずくて、会うことが少なくなってしまった。
高校生活が始まれば、気持ちを切り替えられるかも知れないと、微かな希望を持った。
卒業式は、涙を流すようなタイミングはなかった。
小学校からの友人を見つけ、唯一、また会おうと約束を交わす。
オサム君は第2ボタンの代わりに、鉛筆削りを私にくれた。
制服のボタンは全て、取巻きの女子に渡してしまったらしい。
私の彼氏だということは、最後まで明かしていない。
春休みに一度、二人で美術館へ出掛けた。
オサム君が通うことになる高校から道路1本の場所に位置している。
行きたいと思う展覧会が予定されていたので、またすぐ来ることになるだろうと思っていた。
会わない日が続いても、時々、引出しを開けては鉛筆削りを眺めていた。
削りかすの、木の匂いがうっすらと残っている。
入学後は、互いに違う場所でのスタートを切り、自分のことで精一杯だったろう。
鉛筆削りは徐々に思い出されることもなくなっていった。
行きたかった展覧会は高校の友人と出掛けることになり、遅咲きの桜もすっかり散っていることに気付いた。
帰宅後、急に思い立ち、オサム君に電話をした。
明るく笑う声を聞き、安心し、これまでの感謝を伝え、互いに幸せになろうと約束した。
私がそうであったように、彼もまた、新たな出会いがあっただろう。
これが数少ない、私のきれいな思い出だ。
中学生なんて子供だったけど、尊い時代だったなぁと今になりしみじみと感じている。
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